木曜日, 7月 23, 2015
イノベーションの中心点は、シリコンバレーから深センへ その(3)
今回深セン訪問のもう1つの目的が、ニコ技主催の深セン工場見学ツアーへの参加だ。最初の訪問先は、様々な新しい試みに挑戦しているSeeedStudioだ。Maker Faireの会場内(ソフトウェアパーク内)に、SeeedStudioのオフィスがあるので、そこに集合してツアーがスタートした。
SeeedStudioのオフィスには、いろいろなビジョンが描かれている。その中でも、誰もが前で立ち止まりのがこの写真である。SeeedStudioでは、様々な規模のハードウェア開発を支援し、サラリーマンをしながら電子回路さえWebでおくれば、自分のハードウェアを製造し、さらに販売することができる仕組みの構築までもおこなっている。SeeedStudioは、アプリの世界のAppStoreで起きたことを、今まさにハードウェアの世界で起こそうとしている。
ハードウェアの数 | 規模 | 組織 |
---|---|---|
10K+ | マスプロダクション | Hardware Corporation |
1000 | インディプロダクション | Hardware Startup |
1 | Engineer Sample | ベテランMaker |
0.1 | プロトタイプ | Maker |
0 | Idea | 夢追い人 |
SeeedStudio の従業員は、昨年には100人を突破し、たった1年で300人までに増員している。それほど勢いがあり、世界規模でMakerの支持を集めているベンチャーだといえる。
図) SeeedStudioのオフィス(ソフトウェアパーク)
SeeedStudio のEric Panからニコ技主催の深セン工場見学ツアー説明の後、ニコ技の高須さんのガイドの元、SeeedStudio の工場見学ツアーが始まった。
今回のニコ技 深セン工場見学ツアーでは、バスも用意していただき、SeeedStudio の工場へと向かう。SeeedStudio は、営業機能はソフトウェアパークにあり、工場は別の場所に位置している。
バスで、30分ぐらいで、SeeedStudio の工場へと到着する。工場といっても、中では電子回路のメンテナンスやWikiの更新や、受注処理等をおこなうエンジニアも常駐している。
SeeedStudioは、基板の製造サービスとして、FusionPCBというサービスを展開している。まずは、先にPCBサービスについて解説する。PCB Serviceとは、電子回路から基板を製造するサービスである。SeeedStudioの図でいえば、MakerやベテランMakerなどが必要とするサービスになる。
ハードウェアの数
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規模
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組織
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10K+
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マスプロダクション
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Hardware Corporation
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1000
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インディプロダクション
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Hardware Startup
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1
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Engineer Sample
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ベテランMaker
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0.1
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プロトタイプ
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Maker
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0
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Idea
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夢追い人
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深センでのメジャーなPCB Serviceとして、SeeedStudioや、Elecrow、PCBWayなどが存在している。下記の表が各社の価格帯と製造日数になっている。通常料金では、各社$10近辺になっており、非常に安く早く深センでは基板製造が可能になっている。仮に同じ基板を日本で製造する場合は、5万円〜10万円程度の価格になる。
PCB Service (50mmx50mm) |
通常料金 (10枚) |
特急料金 (10枚) |
---|---|---|
SeeedStudio | $9.0 (3日) |
$199 (2日) |
Elecrow | $9.9 (4日〜7日) |
$69.9 (2日) |
PCBWay | $12.0 (2日〜3日) |
$59 (24時間以内) |
深センの優位性は、製造した基板を現地ピックアップできる点にある。今回、SeeedStudioに訪問した際に、発注していた基板を現地でPickUpしてみた。SeeedStudioのFusionPCBを利用すれば、深セン在住なら、3日で基板を手にいれる事ができる。
図) 現地ピックアップした箱
表)最近の基板発注の郵送にかかる時間(Fab蔵発注履歴より)
PCB Service | 宅配業者名 | 発送日(深セン) | 到着日(会津) | 日数 |
---|---|---|---|---|
Elecrow | Shenzhen DHL | 7/10 19:10 | 7/14 9:14 | 4日 |
Elecrow | Fedex | 7/14 10:15 | 7/21 12:50 | 7日 |
Elecrow | Fedex | 6/29 17:54 | 7/3 10:35 | 5日 |
PCBWay | Shenzhen DHL | 6/29 19:15 | 7/1 10:15 | 3日 |
Elecrow | Fedex | 6/26 22:49 | 7/2 10:33 | 5日 |
DFRobot(上海) | DHL | 6/15 17:49 | 6/17 10:01 | 3日 |
Elecrow | Fedex | 6/4 20:33 | 6/10 12:13 | 6日 |
Elecrow | Fedex | 6/1 20:49 | 6/6 13:40 | 5日 |
表) PCB Service業者が表示している目安の郵送日数
宅急便 | Shenzhen DHL | DHL | Fedex | EMS |
---|---|---|---|---|
Elecrow | 2-3日 (日本向けには4日の場合も) |
3-5日 | 4-7日 | - |
DFRobot | 提供なし | 3-5日 | 提供なし | - |
SeeedStudioでは、PCB Serviceと同様に実装サービス(PCBA Prototype)も展開している。実装サービスは、基板製造とは違い、物理的な部品を実装するため、部品リストの作成や、部品の郵送や購入依頼など、いろいろな手続きが必要になる。
SeeedStudioのPCBA Prototypeでは、Open Parts Library(OPL)を定義し、よく使う部品を常時在庫しておくことで、部品の購入や発送などの手続きや調整などをおこなわずに、基板への部品実装が可能になっている。
OPLにより、電子回路だけWeb経由で送ってしまえば、あとは、部品実装された状態で、自分の基板が手元に届くことになる。OPLでは常に在庫を保持しているので、基板の製造から部品実装までにかかる時間は10日程度になっている。開発者は、電子回路のデータさえSeeedStudioにおくれば、あとは実際の部品実装された基板を手元に届けてくれる。
図) OPLのリスト
図) SeeedStudioの工場に在庫しているOPL部品
図) PCB Prototypeで開発したFaBo Brick
表)実装費と部品代
部品 | 価格 | 実装費 | 個数 |
---|---|---|---|
コンデンサ (100nf) |
$0.008 (0.992円) |
$0.1 (12.4円) |
2個 |
抵抗 (4.7K) |
$0.003 (0.372円) |
$0.1 (12.4円) |
2個 |
センサ (ADXL345) |
$1.3 161.2円) |
$0.2 (24.8円) |
1個 |
表)実装費合計
部品代合計 | 実装費合計 |
---|---|
$1.332 (163.928円) | $0.6 (74.4円) |
抵抗、コンデンサ等の単純な部品 $0.1、IC等 $0.2の実装費となっている。簡単なBrickを1つ作る場合(部品5点)は、$0.6(74.4円)ぐらいの実装費となる。
これらのOPLで作られる基板の実装、手作業でおこなわれている。作業員のおばちゃん達は、3D Printerを使いこなし、半田付けもおこない、必要な時にはDesktopチップマウンタも用いる。まさに少量多品種生産の現場は、"フルスタックおばちゃん"が支えている。
図) 3D PrinterからDesktop チップマウンタまで使いこなす
フルスタックおばちゃん
フルスタックおばちゃん
図) 部品実装をするフルスタックおばちゃん
図) SM-482
図)SM-482の中の様子
一緒にツアーの参加していたオランダの大学院生が、面白いハードをもっていたので、これどこのキットって聞いたら、「これ自分で開発して、SeeedStudioで製造して販売してるんだぜ」と見せてくれた。彼は、普通に大学生をやりながら、自作したハードウェアを世界に向けて販売している。
ハードウェアの数
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規模
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組織
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10K+
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マスプロダクション
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Hardware Corporation
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1000
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インディプロダクション
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Hardware Startup
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1
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Engineer Sample
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ベテランMaker
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0.1
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プロトタイプ
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Maker
|
0
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Idea
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夢追い人
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こういったサービスは、SeeedStudioのPropagateというサービスで使うことが可能である。Kickstarterで、プロジェクトを立ち上げ、いざ量産というときに、使えるサービスになる。
SeeedStudioでは、1個のプロトタイプから、Kickstarter等での1000個の製造までをもカバーしている。特記すべきは、大学生やサラリーマンをやりながら、ハードウェアの製造にチャレンジできる仕組みを構築しつつある点だ。これこそが、誰もがハードウェアにチャレンジできるMakers Movementの原点だといえる。
その(4)へ続く
SeeedStudioでは、1個のプロトタイプから、Kickstarter等での1000個の製造までをもカバーしている。特記すべきは、大学生やサラリーマンをやりながら、ハードウェアの製造にチャレンジできる仕組みを構築しつつある点だ。これこそが、誰もがハードウェアにチャレンジできるMakers Movementの原点だといえる。
その(4)へ続く
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