金曜日, 7月 24, 2015

イノベーションの中心点は、シリコンバレーから深センへ その(5)

金曜日, 7月 24, 2015 By

Makeblockの後は、今回の一番訪問したかったHAXに行ってきた。まず、はじめにHAXのCEOであるCyril Ebersweilerから、HAXの仕組みについて解説してもらった。Cryilは、日本在住経験もあり、日本にも何度も足を運んでいる日本通だ。

HAXは、今最もいけているハードウェアインキュベーションだ。HAXでは、36件のプロジェクトが立ち上がり、Kickstarterのファンディングで平均で3000万円のファンディングに成功している。ネットの世界でいうY Combinatorのポジションにいるハードウェアインキュベーションだといえる。

図) HAX CEO Cyril Ebersweiler


深センでの1週間の経験は、シリコンバレーでの1ヶ月の経験にも匹敵するといわれている。これは日本でも同様で、深センでの1週間の経験は、日本の1ヶ月の経験に匹敵する。つまり、深センで作業をするだけで、4倍速という圧倒的なスピードを手にいれる事ができる。 

図) 深センでの1週間の経験 = シリコンバレーでの1ヶ月の経験

HAXでは3ヶ月でハードウェアをローンチすることが目標とされ、ハードウェアのプロトタイプが日常的におこなわれている。なんといっても驚いたのが、プロジェクト参加者の机が50個近くあるのだが、その机の横には、メタルステンシルが山済みにされていたことだ。ここでは、プロトタイプは日常の作業であった、いかにプロダクトアウトできるかで、日夜競いあっている。

図) HAXの作業机


図) 中は撮影禁止だったのでイメージ図

HAXでは、日常的にPCB Service + メタルステンシル + リフロー機で基板の試作がおこなわれている。PCB Serviceで基板を起こすのが3日、リフローで部品実装するのが1時間、3日+αで1回の試作が完了する。これだけ早く試作できれば、失敗を見つけ、改善ポイントを発見し、時としてはPivotできる。ここにいれば、週に2回失敗でき、月に8回失敗でき、3ヶ月で24回失敗できる。まさに、これだけ失敗できれば失敗は成功の糧とできるわけだ。

もちろん、基板でもこれだけ早いが筐体やケースに関しても3D Printerや、近隣の工場との連携で圧倒的な速さを実現している。

HAXの最近の成功事例として、 電子回路が印刷できる3D PrinterであるVolteraがある。Volteraはアイディアから製品化まで3ヶ月という短期間でおこない、Kickstarterで5000万円を超えるファンディングに成功している。Volteraはカナダベースのチームで、基板をPCB Serviceで頼むとカナダに届くまで2週間かかるから、このプロダクトを考えたそうだ。まさに、深セン以外のMakersの救世主となるハードウェアである。

図) 3ヶ月で進化したプロトタイプ

このように、HAXでは、世界中からハードウェアスタートアップが集まり、深センの競争優位性を元に、ハードウェアにチャレンジするハードウェアスタートアップが集結しつつある。

最後にHAX支援のプロジェクトのKickstarter TOP7を掲載しておく。

CHIP $2,071,927
9ドルの開発ボード。実に2億円を超えるファンディングに成功。


Prynt $1,576,011
スマフォ用インスタントプリンタ


Hex $563,721
小型Quadcopter


Voltera $502,310
電子回路が印刷できる3D Printer



mBot $285,463
MakeBlockにより作られたロボットカー





mDrawBot $193,937
MakeBlockにより作られた描画ロボット



MakeBlock $185,576
MakeBlock本体



HAXでは、ユニコーンの出現を深センで待ち構えている。

その(6)へ続く

イノベーションの中心点は、シリコンバレーから深センへ その(4)

0 コメント:

コメントを投稿